「未来の年表」(河合雅司)

本書の未来予想は秋田において着実に現実化している

「未来の年表」(河合雅司)
 講談社現代新書

ご存じ2017年のベストセラー本です。
ベストセラー本嫌いな性格の私は、
これまでスルーしていました。
しかし2018年の「未来の年表2」
そして2019年の「未来の地図帳」まで
話題になり、読まないわけには
いかなくなりました。

やはり衝撃的でした。
2015年では1億2700万人を数えた
日本の総人口が、
40年後には9000万人を下回り、
100年経たぬうちに5000万人まで
減少するというのですから。
その数字自体は
「日本の将来推計人口」として
公開されていたのですが、
それがどんな現象として
私たちに降りかかってくるかを
丹念に描いたのが本書なのです。

以前から地方では
人口減少が問題となっていました。
特に私の住む秋田県の人口減少率は
6年連続で全国ワーストです。
2018年1月現在で
人口に占める65歳以上の年齢の割合は
36.4%で全国1位、
14歳以下の年齢の割合は
10.0%で全国最下位、
日本最高の少子高齢化県なのです。

今、私の地域の小中学校では、
「ふるさと教育」が盛んです。
ふるさとの良さを知り、
将来ふるさとに残って生活する人間を
増やすことがねらいなのですが、
虚しさを感じてなりません。
地域を活性化させるアイディアを、
小学生中学生から
引き出すようなことをしていても
意味がないのです。

私たちのとるべき道は、
本書がある程度示してくれています。
一つは移民を受け入れ、
多民族国家として
国の規模を維持していく道。
もう一つは意図的に縮小し、
小さいなりに豊かな国を目指す道。
前者は移民の人口が大きくなるにつれ、
民族間の対立を招いたり、
最終的には純粋な日本人が
少数派になる危険を孕んでいます。
後者は人口を一定地域に
集約させる必要があり、
結果的に消滅する地域が
生じてくるというリスクがあります。
どちらにしても日本という国の形が
変わることは避けられないのです。

秋田県ではすでに
介護士の人材不足が生じており、
増大する介護サービスの需要を
満たすことが困難になっています。
また県内のある市では、
市内病院が分娩を扱う業務を
停止したため、
出産をする女性は隣の市の病院まで
行かなければならない状態も
生じています。

本書に書かれてある未来予想は、
日本最大過疎県秋田において
着実に現実化しています。
本当に恐ろしいことです。
ぜひご一読を。

(2019.10.13)

Michael GaidaによるPixabayからの画像

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